法人保険を節税対策として活用することへの規制について解説します。

節税スキームに対する規制

規制への注意

法人保険の本来の目的は、経営者・役員・従業員の死亡や医療・疾病に対する保障や、企業が抱えるリスク回避、従業員への退職金の準備などがあります。

 

そして、保険会社には保障を受ける対価として保険料を支払うものですが、実際の所は3~5年程度の契約で保障を極限まで薄くして解約返戻率が高くなる保険商品が人気を集めています。
薄い保障で解約返戻率を重視するメリットは言うまでもなく節税対策をできることですが、保険をかける本来の目的ではなく節税に重点を置いて保険加入をする行為を国税庁が長年問題視をしていました。

 

こうした理由からこれまで複数回にわたって法人保険を活用した節税スキームに対する規制が行われていて、2019年7月には解約返戻率に応じて損金計上の割合を厳しく制限する新規制が適用されています。

 

 

法人保険の最新ルール

ルールのイメージ画像

2019年7月8日以後を始期にする法人保険の中で、最高解約返戻率が50%を超える定期保険、医療保険・がん保険の保険料については以下の規制が適用されました。

 

  • 原則、契約始期年度で損金の一括算入を認めない
  • 契約年度は一部を資産計上し、一定期間経過後にその資産を取り崩して損金に算入する
  • 最高解約返戻率によって資産計上期間と資産計上額が決まる

 

最高解約返戻率に応じた資産計上の規制は以下の通りです。

 

最高解約返戻率50%超70%以下

資産計上期間:保険期間の前半4割相当
資産計上額:当期分支払保険料の40%

 

最高解約返戻率70%超85%以下

資産計上期間:保険期間の前半4割相当
資産計上額:当期分支払保険料の60%

 

最高解約返戻率85%超

資産計上期間:最高返戻率となる期間の終了日
資産計上額:保険始期10年未満の期間は90%、10年以後は当期分支払保険料の70%

 

ご覧の通り、最高解約返戻率が50%を超えると最低でも4割は資産計上しないといけなくなり、最高解約返戻率85%超えは10年にわたって90%を資産計上するため、保険加入年度の節税効果はほとんどありません

 

損金を計上できないのではなく、資産計上期間が終わってから資産を取り崩して損金に計上はできますが、単純に利益計上を数年後へ先延ばしする目的だけで法人保険に加入するメリットが少なくなりました

 

保険加入して保障を受けながら一部の節税効果で保険料をお得にしたい場合は、最新ルールであっても個人保険に比べて税制面が優遇されています。
損金算入を最大限に活かしたい場合は、解約返戻金を差し引いて相応の保険料の支払いをする必要があります。

 

 

適用外になるケース

2020年以降の最新ルールでも以下の保険契約は保険料の全額を損金(全損タイプ)にすることができます。

 

  • 保険期間が3年未満の定期保険等
  • 最高解約返戻率が50%以下の定期保険等
  • 最高解約返戻率が70%以下かつ年間保険料相当額(保険料総額÷保険期間)が30万円以下の定期保険等

 

ここでポイントになるのが3年未満なら全額損金算入できることです。
3年未満の保険契約は解約返戻率100%超えが厳しくなってしまいますが、保障を薄くすれば返戻率80%超えが可能です。

 

このように法人保険は現在でも上手に活用すれば大きな節税効果を得られますが、新しい規制が適用された影響もあり、最適なアドバイスをできる税理士や保険会社が少なくなっています
規制前に比べて注意点や加入方法のコツが増えているので、今から新規契約で法人保険での節税をする場合は、最新ルールを理解した上で慎重に検討してください。

 

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